悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架感想
ユリウスモード魔王蒼真戦イベント考察(改訂版)

ということで、ユリウスモード魔王蒼真戦イベント考察です。しかし、実際はものすごく短いイベント なのに、ここまで妄想……じゃなくて考察できるなんて、自分でもびっくりです。けど……こういった考察 は出来れば本編でやりたかったです。でも、本編のシナリオはなんか軽い感じがして、そういう気分に なれなかったんですよね。本来は逆だろうに。

それはともかく、それぞれのキャラクターの台詞から考えた考察を1人ずつ書いていきたいと思います。

では、まずはユリウスから。

この台詞は、暁月をやってない人にはチンプンカンプンかと思いますが、実は蒼真は暁月で魔王化 しかけた時にユリウスと戦ってまして、その時に「もし魔王になったら、ユリウスに自分を殺してもらう」 という約束をしてたんですよね。で、暁月の時はなんとか事なきを得られたのですが、今回はとうとう魔王 になってしまった訳で。

正直、ユリウスとしても1年も前にした、しかももう果たさなくて良いと思っていただろう約束を まさかこんな所で果たさなくてはならないというのはかなり辛い事かと。それに、この事によって 一度は終わったと思ってたベルモンド家とドラキュラの因縁が復活してしまった(それとも、ベルモンド家 と魔王蒼真との新しい因縁と考えた方がいいでしょうか?)訳で。そのあたりも辛い所と思います。 ユリウスは蒼真を倒した後、一体どんな思いを抱いて生きて行く事になるのでしょうか?

しかし、このユリウス編はあくまでもおまけ。いわゆるパラレルワールド扱いなので、今後それが 語られる事は(多分)無いでしょう。

彼女も、今回の件に蒼真が首を突っ込んだ時に「蒼真が魔王として覚醒するかもしれない」と言う 事は、ある程度覚悟はしていたと思います。こういった業界の人間としてその手の警戒をするのは当然でしょうし、 本編でも「(蒼真には)出来る事なら今すぐにでも手を引いてほしい」みたいな事を口にしてましたし。 でもやはり「大丈夫、きっと無事に終わるだろう」という希望も抱いていたのではないか?と思います。

ですが、蒼真は魔王化という結果に。しかもつい先日まで蒼真の武器を強化したり、ユリウスや有角の伝言 を伝えたり、弥那との間柄を冷やかしたりしていたのに、今目の前に居る蒼真はまるでそんな時間なんて 無かったかのような態度。

今作に関してだけ言えば、この3人の中で(暁月と蒼月の間にこの3人が蒼真とどれだけ会って いたのかは分からないので、それが判明したらこのシーンの印象もがらっと変わってくると思いますが) 「戦場以外の場所に居る蒼真」を一番見ていたのはヨーコでした。なので、その(比較的)平常時の 蒼真をよく知っているだけに、今回は彼女にとってかなり辛いものがあったんじゃないかなと思います。

で、ふと思ったんですけど、惜しくも今回のユリウス編では出ませんでしたが、ヨーコ以上に蒼真と 付き合いのあったであろうハマーが、この魔王状態の蒼真を見たらどう感じるんでしょうか? ハマーは、普段から付き合いがあった事が分かっているし。(オープニングで蒼真が弥那と会話している とき、ハマーの名前が出て来る)なんというか、彼の事だから有角達から「説得しても無駄だから、もう 蒼真は殺すしか無い」と言われてても、いざ蒼真と対面したら「説得すれば、きっと正気に戻る筈」と信じて なんとか元に戻そうとするんじゃないかって気がするんですよね。……恐らく、それらは全て無駄に 終わってしまうでしょうが。むしろ、余計状況を悪化させそうな気が……(苦笑)。ハマーって 元軍人のハズなのに、そういう状況に陥った時冷静に対処出来そうなイメージが全くないんですよね。

でも、それでもいいから彼には今回の戦いには参加して欲しかったです。無駄だろうが何だろうが 彼には蒼真への最後の説得をして欲しかった。そして……ハマーにとってはかなり辛いだろうけど、 彼自身の手で蒼真を眠らせてやって欲しかったなと思います。

って、それやってしまったらユリウスモードじゃなくてハマーモードになっちゃいそうな気がしますけど。 ……ああ、だから今回のおまけからハマー外されたのかな?

ご存知の方も多いかと思われますが、蒼真は前世でアルカードと親子でした。ただ、蒼真自身はその事 は知らないという設定ですが。(……知らないですよね?つか、知ってたらその事に付いてゲーム中で何か言及 してるはずだし……。)でも、アルカードとドラキュラは考え方の相違から対立していたんです。ただ、人間を 吸血鬼が滅ぼすか否かって問題を、考え方の相違で済ませて良いものか自分でもちょっと疑問ですが。

でもって、アルカードは蒼真の前世であるドラキュラ伯爵を何度か倒しています。が、それって別に やりたくてやっていた訳じゃない筈ですし。というか、アルカードとドラキュラ伯爵だって、はなっから 関係が悪かった訳じゃないと思うんです。(ベタベタに仲が良かったとも思えませんが)多分、アルカード と伯爵との関係が悪化したのは、アルカードの母親のリサが魔女裁判で殺された時からじゃないかと 思います。(と思いたい。それ以前から仲が悪かったってのはさすがにちょっと……。もしかして、闇の呪印の コミックスにヒントある?)

アルカードは、父親との関係修復は不可能になってしまったけど(その生まれ変わりである) 蒼真とは敵同士ではなく、もっと別の関係になれるかも…って考えていたかもしれない。ゲーム中の ライブラリにある彼(アルカードの方)のプロフィールの中にも「蒼真に父親と同じ道を歩ませたくないと 考えている」って書いてありましたし。伯爵と同じ道を歩むってことは、つまるところ人間を恨み続け その恨みの中で人間を殺し続け、そして殺される苦しみを何度も何度も味わうと言う事ですから。

そういえば以前の感想(no.7)でも書いたけど、 アルカードって妖魔迎賓館では物凄い形相で蒼真を怒鳴りつけていたんですよね。(あの無愛想で無表情なアルカードが、 いくら怒ってたからってあんな物凄い表情で怒鳴るか?という疑問もありますが)あの時は下手に行動すれば 魔王化するかもしれないというのに、自分からこの件に首突っ込んだ蒼真に相当苛立ってたんでしょう。

ただ、それでもあの時は蒼真の意思を尊重して、アルカードはあの教団施設での活動を自分の監視 範囲内で許可しました。しかし、蒼真は魔王として覚醒。勿論、これはドッペルゲンガーを使って来た セリアが悪いのですが、もしかしたら(これはユリウスやヨーコも同じだろうけど)「あの時、蒼真を 無理矢理にでもこの件から手を引かせれば良かった」と思っているかもしれません。そうすれば蒼真は 蒼真のままでいられたのに、と。

ここで少し考えたのですが、もしこの魔王蒼真が、ドラキュラと同じく殺されてもまた復活出来る存在 だとしたら、アルカードは、また何処か別の時代で蒼真を殺さなければならないのかもしれません。 アルカードはダンピールなので、寿命というもので死ぬことが恐らく無いですから。(……というか、 人為的に命を絶つ事は可能ですが、それをすると彼の人間の部分が消滅してしまい、残虐な吸血鬼としての 部分のみが残った状態で復活してしまうので、何が何でも生き続けなければならないという設定だと言うのを、 ネットに上がってた月下発売時だかキャッスルヴァニア発売時だかの頃の雑誌の記事で見た事が有ります。 その設定が今現在も生きてるかどうかは不明ですが)それは、ユリウスやヨーコとはまた違った意味で辛いと思います。 やはり長い目で見た時に一番辛いのはアルカードなのでしょう。

しかし、なんだかんだ言ってもアルカードって何考えているのか推測しづらい。彼は、ゲーム中で 自分の感情を出す事が殆どないので。

そして、こちらが喋った後蒼真は持ってたグラスを床に投げて玉座から立ち上がり、エコーの聞いた声で 「来るが良い…○○」と喋ります。○○の部分にはそれぞれ操作しているキャラの名前が入ります。それぞれ書き出しますと、

フルネームで名前を呼びます。声の調子はなんというか、これまでにベルモンド一族に受けて来た恨みを吐き出したって感じでしょうか。

これもまた、恨みがこもった感じです。やはり、悪魔城伝説の時と月下の夜想曲の時の事(あとは1999年の時の事もでしょう) を根に持ってるのでしょうか?恐らく、こうやって(前世ではだけど)息子に自分のやる事を阻止されるのが不愉快なのでしょう。

しかし、ヨーコだけはなんだか凄い舐めた感じで「ヴェルナンデス」と、名字だけしか言って くれません。ああ、きっとヨーコの事をかなり馬鹿にした薄笑いを浮かべてるんだろうなあ…。って感じの 声です。蒼真酷いです。でも、確かにヨーコだとこのラスボス戦はキツいんですが。なにげに長期戦に なるからMP切れがちになるんで。まあ、そんなこんなで短いイベントの後、戦闘開始です。

しかし、ここまで書いといてなんですが、覚醒した蒼真はドラキュラ伯爵の記憶があると見ていいって 事でしょうか?なぜなら「来須蒼真」は有角幻也が「ドラキュラの息子のアルカード」である事は知らない はずですし、ベルモンド家の事にしたって「蒼真」はユリウス以外は知らないはずだから「ベルモンド ”一族”に対する怨念」は無いはず…というか、知らない人間に対して怨念を持てるはずが無い。

ヨーコにしても、あの椅子に座ってる「蒼真」が「ドラキュラ伯爵」の記憶を持っていると仮定すれば 彼女に対して侮蔑的な態度を取る事は説明出来る(ドラキュラは、大昔にヨーコの先祖であるサイファ・ ヴェルナンデスを一度石に変えた事がある……で、「あの、石に変えてやったヴェルナンデスの子孫が 歯向かって来たか」みたいな?)のですが、そうでなければあのセリフは説明がつかないです。暁月の頃 から照らし合わせても、「蒼真」が、ヨーコに対してあそこまで侮蔑的な感情を抱くきっかけになるイベント見当たらないですし。 とはいっても、彼自身がこんな状態だから、ほんの些細な事でも彼女を侮蔑するきっかけになってる可能性はありますが。

しかしこうやって見てみると、魔王化した蒼真はやはりドラキュラとしての人格の方が強くなっているの でしょうか?だとすると皮肉ですね。蒼真は弥那が殺されて、それで自分が人間への復讐をする事を望んだはずなのに、 結果的には蒼真にとっては赤の他人であるドラキュラに乗っ取られて(あるいは吸収されて)しまったのだから。

(実は「蒼真」が「ドラキュラ」の人格を吸収した事も一度は考えたのですが……。ほら「蒼真」は暁月 で魔王としての宿命を克服した訳だし。だとしたら蒼真の人格は「ドラキュラ」の人格よりも強いのかな?……なんて。 しかしこの状態の「蒼真」が悪意の塊になってたとしても、やっぱり前世での感情を優先するような発言は無いだろうと 思うんですよね。あそこで座っているのがあくまでも「蒼真」だとしたら、ユリウス達に対しては先祖云々ではなく 「今ここで自分の邪魔をするヴァンパイアハンター達」という感情を抱くと思うんです。なので、今上げた仮説は無いかなと。 まあ、今ここに書いた事はあくまでも私の憶測にすぎないので)

「蒼真」は、自分が「ドラキュラ」に乗っ取られる(もしくは吸収される)事は望んでなかったはず。 しかし乗っ取られたって事は、結局「自分で自分の願いを叶えられなかった」って事ですよね。 蒼真って、結局はドラキュラの仮の人格だったって事なのでしょうか?グッドエンドの方で考えるなら 仮の人格が主人格を凌駕してるって事なので、物凄く燃えで萌えなんですが♪ウハ♪……ですが、 こうなるともう悲しい以外の何物でもないです。

そして、蒼真を倒すとエンディングになります。ですが、三人(アルカードはなぜか有角の姿になってる) が崩れ落ちる悪魔城を見つめている、だけ。セリフは一切無しです。すごくあっさりです。

まあ、ユリウス編はあくまでもおまけだから、そんな凝ったエンディング作る余裕なんて無いよ!って ことなのでしょうが、せめてユリウスだけでも何かセリフ欲しかったです。

たとえば、蒼真に対して哀悼の意を示すようなセリフとか、これからのベルモンド家を案じるような セリフとか。そういうのあったら、このユリウスモードの評価はもっと上がってたと思う。(今でも十分 好評だけど)こんな事いうのはただの我が侭だろうけど、今回のユリウス編は簡単ながらもストーリーがあったんだから、もう少し凝ったエンディング がほしかったと思いました。

そういえば、ずーっと前に自ら体を捨てて、蒼真の中に魂の状態で入り込んだドミトリー氏。 今思い出したけど、あの人グッドエンドルートだと蒼真から出た後、弥那に化けてたドッペルゲンガー に乗り移ってましたが、こっちのルートだとどう考えても出て行くチャンスがないんですよね。 そうなると……、もしかして蒼真の中に入りっぱなし?魔王化した蒼真に吸収された? はて、ドミトリーは一体どうなっちゃったのでしょうかね?